【令和8年度】東京都「新市場・新分野進出コース」とは?最大1,000万円の助成金を徹底解説|創意工夫チャレンジ促進事業

「事業再構築補助金や新事業進出補助金のような制度は東京都にはないの?」

そんな疑問を持つ経営者の方にぜひ知っていただきたいのが、**東京都「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(新市場・新分野進出コース)」**です。

この助成金は、新商品・新サービスを開発し、新しい市場へ挑戦する事業を支援する制度であり、考え方としては事業再構築補助金や新事業進出補助金に近い東京都の助成金といえます。

最大1,000万円、助成率は最大4/5。

さらに採択後は専門家による伴走支援も受けられるため、新規事業へチャレンジしたい東京都内の中小企業・個人事業主にとって非常に魅力的な制度です。

一方で、

「設備を購入したい」

だけでは採択されません。

本制度では、

“新商品・新サービスの開発”と”新市場・新分野への進出”

この2つを同時に満たすことが求められます。

この記事では、公募要領をもとに、

  • 制度概要
  • 助成内容
  • 対象者
  • 対象経費
  • 業務改善コース・賃上げ重点コースとの違い

まで、中小企業診断士の視点で実務的に解説します。


制度概要|新市場・新分野進出コースとは?

本制度は、東京都中小企業振興公社が実施する

「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」

の3コースの一つです。

近年の物価高騰や人件費の上昇、社会情勢の変化などにより、中小企業には従来の事業だけでは成長が難しい時代となっています。

そこで東京都では、

創意工夫を活かした新商品・新サービスの開発と、新しい市場・顧客への挑戦

を後押しすることで、中小企業の経営基盤強化を目指しています。

つまり、

設備投資を支援する制度ではなく、

新たな収益源を生み出す事業

を支援する助成金です。


「新市場・新分野」とは?

公募要領では、

  • 新商品・新サービスを開発すること
  • 新市場・新分野へ進出すること

両方を実施すること

が求められています。

例えば、

活用例

✔ 製造業が一般消費者向けブランドを立ち上げる

✔ 法人向けサービスを個人向けサービスへ展開する

✔ 自社技術を別業界へ応用する

✔ 新しい顧客層へ向けた商品を開発する

✔ 異業種へ参入する

などです。

一方、

次のような内容は対象外になります。

  • 老朽設備の更新
  • 生産性向上だけを目的とした設備導入
  • 既存商品の販路拡大
  • 同じ商品を別地域へ販売するだけ

この違いは審査でも非常に重要になります。


助成内容

令和8年度第1回募集の概要は次のとおりです。

項目内容
助成限度額最大1,000万円
助成率2/3以内
賃上げ計画あり3/4以内
小規模企業+賃上げ最大4/5以内
助成対象期間交付決定日から最大1年間
専門家派遣最大10回(無料)

さらに採択後は、専門家による伴走支援を無料で受けられます。

申請だけで終わらず、

「どう事業を成長させるか」

まで支援してもらえる点も、この制度の大きな特徴です。


助成率アップの条件

基本の助成率は

2/3以内

です。

しかし、

賃金引上げ計画

を策定すると

3/4以内

さらに小規模企業は

4/5以内

まで助成率が引き上げられます。

ただし注意点があります。

賃上げ計画を提出しても、

計画どおり賃上げを実施できなかった場合

助成率は

2/3

まで戻ります。

そのため、

「助成率が高いから」

ではなく、

確実に実施できる賃上げ計画を立てることが重要です。


対象者

対象となるのは、

東京都内で事業を営む

  • 中小企業
  • 個人事業主

です。

さらに、

次のいずれかを満たす必要があります。

✅直近決算期の営業利益が前年より減少している

または

✅直近決算期が赤字である

法人の場合は東京都内に本店(実施場所が都内なら支店も可)、

個人事業主は納税地が東京都内であることも要件となっています。

また、

業務改善コースや賃上げ重点コースとの重複申請はできません。

さらに、

令和8年度「中小企業収益力強化サポート事業」のハンズオン支援を受けている事業者も対象外となります。

対象地域

本助成金の対象地域は東京都です。

申請できるのは、東京都内で事業を営む中小企業・個人事業主です。

実施場所については東京都内が基本ですが、

  • 神奈川県
  • 埼玉県
  • 千葉県
  • 群馬県
  • 栃木県
  • 茨城県
  • 山梨県

に所在する事業所でも、東京都内に本店があるなど一定の条件を満たせば対象となります。

「都外の工場で実施するから対象外」と判断せず、要件を確認することが大切です。


助成対象経費

本制度では、新商品・新サービスの開発から販売開始までに必要となる幅広い経費が対象になります。

対象経費は次のとおりです。

  • 原材料・副資材費
  • 機械装置・工具器具費
  • 委託・外注費
  • 産業財産権出願・導入費
  • 規格等認証・登録費
  • 設備等導入費
  • システム等導入費
  • 専門家指導費
  • 不動産賃借料
  • 販売促進費
  • その他経費

ただし、すべてが自由に使えるわけではありません。

募集要項には細かな対象要件が定められており、実務ではこの違いを理解しているかどうかが重要になります。


機械・設備導入

新商品・新サービスの開発や新市場への進出に必要な設備であれば対象になります。

例えば、

  • 新商品の製造設備
  • 測定機器
  • 加工機械
  • 新事業専用設備

などです。

一方で、

  • 老朽設備の更新
  • 修理
  • 中古設備
  • 10万円未満の設備購入

は対象外となります。

「設備を新しくしたい」だけでは採択されないため、その設備が新市場進出にどう必要なのかを事業計画で説明することが重要です。


システム導入

システム構築も対象になります。

例えば、

  • 新サービス提供システム
  • 予約システム
  • ECシステム
  • クラウドサービス

などです。

しかし、

  • パソコン購入
  • 社内だけで使うシステム更新
  • 要件定義だけのコンサルティング
  • 保守のみ

などは対象外です。

また、クラウドサービスは助成対象期間内に利用する費用のみ対象となります。


ホームページ制作・広告費

本制度では販売促進費も対象です。

例えば、

  • ホームページ制作
  • チラシ制作
  • パンフレット制作
  • PR動画制作
  • Web広告
  • SNS広告
  • 展示会出展

などが対象となります。

ただし、

“新商品・新サービス”

の販売促進であることが条件です。

既存商品の広告や会社紹介だけのホームページ制作は対象になりません。

さらに、

  • ドメイン取得費
  • サーバー代
  • 保守費
  • 更新費

も対象外となります。

「ホームページ制作が対象」と聞いても、制作以外のランニングコストは助成されない点に注意しましょう。


不動産賃借料

新市場進出に必要な事務所や施設を新たに借りる場合は対象となります。

ただし、

  • 敷金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 駐車場代
  • 保険料

などは対象外です。

住居兼事務所の場合も、事業利用部分のみが対象となります。


実務で最も重要なルール

本助成金では、

交付決定日から助成対象期間が始まります。

つまり、

交付決定前に

  • 契約
  • 発注
  • 支払い

を行った経費は助成対象になりません。

また、助成対象期間内に

契約・実施・支払い

まで完了していることが条件です。

特にクレジットカード払いは、利用日ではなく口座引落日が助成対象期間を超えるケースがあるため注意が必要です。


業務改善コース・賃上げ重点コースとの違い

創意工夫チャレンジ促進事業には3つのコースがあります。

業務改善コース

既存事業の改善を目的とした制度です。

例えば、

  • 生産性向上
  • 業務効率化
  • サービス品質向上

などが対象となります。

助成上限は600万円です。


賃上げ重点コース

既存事業の改善に加え、

賃金引上げ計画

を策定する企業向けです。

助成率が高くなる点が特徴です。

こちらも助成上限は600万円です。


新市場・新分野進出コース

今回紹介しているコースです。

大きな違いは、

「新商品・新サービス」と「新市場進出」の両方が必要

であることです。

例えば、

製造業がECサイトを作るだけでは採択されません。

しかし、

新ブランドを立ち上げ、そのブランド専用ECサイトを構築し、新たな顧客へ販売する事業であれば対象となる可能性があります。

つまり、

設備投資やホームページ制作はあくまで手段です。

審査で評価されるのは、

「新しい収益源を作る経営戦略」

そのものなのです。

申請方法|Jグランツによる電子申請のみ

本助成金はJグランツによる電子申請のみ受け付けています。

郵送や持参での申請はできません。

また、Jグランツを利用するためには、GビズIDプライムの取得が必須です。

GビズIDの取得には一定の期間が必要になるため、公募開始直前では間に合わないケースもあります。

「申請したい」と思ってから準備するのではなく、早めに取得しておきましょう。

また、本助成金では提出書類も多く、事業計画書だけでなく決算書や各種証明書類なども必要になります。

締切直前はJグランツへのアクセスが集中する可能性もあるため、余裕を持った申請がおすすめです。


令和8年度 第1回申請スケジュール

令和8年度第1回募集は、次の日程で実施されます。

項目日程
申請受付開始令和8年7月1日(水)9:00
申請締切令和8年7月14日(火)16:00
書類審査令和8年8月頃
面接審査令和8年10月7日~15日
交付決定令和8年10月末予定

特に注意したいのは、

締切は16時

という点です。

多くの国の補助金は23時59分まで受付していますが、本助成金は16時で受付終了となります。

「夕方に提出しよう」と考えていると間に合わない可能性があります。


審査基準|採択される事業計画とは?

募集要項では詳細な採点項目は公表されていません。

しかし、公募趣旨を見ると、審査員が重視するポイントはある程度読み取ることができます。

① 新規性

まず重要なのは、

本当に新商品・新サービスなのか

という点です。

例えば、

既存サービスの名称を変えただけ

ホームページを新しくしただけ

既存商品の色違いを販売するだけ

では、新規性は認められません。

既存事業と比較して、新たな価値を提供できることを明確に示す必要があります。


② 新市場性

次に重要なのが

新市場・新分野への進出

です。

例えば、

BtoBからBtoCへ展開する

介護事業者が健康食品市場へ進出する

製造業がEC販売を開始する

など、

これまでとは異なる顧客層へ販売することが求められます。

単なる営業エリアの拡大では評価されません。


③ 実現可能性

どれだけ魅力的な事業でも、

「本当に実現できるのか」

は必ず見られます。

例えば、

  • 実施スケジュール
  • 実施体制
  • 人員配置
  • 資金計画

などが具体的に示されているかが重要です。

「助成金が採択されたら考えます」という計画では評価されません。


④ 継続性・収益性

助成金は、

「設備を購入する制度」

ではありません。

東京都が期待しているのは、

助成事業終了後も継続して利益を生み出す事業です。

つまり、

「新しい売上の柱」

をどう育てていくのかまで説明できる事業計画が高く評価されます。


活用事例

製造業

精密部品メーカーが、自社技術を活かしてアウトドア用品ブランドを立ち上げ、EC販売へ進出。

設備導入だけでなく、ブランドサイト制作やSNS広告も組み合わせて申請。


建設業

住宅リフォーム会社が、高齢者向け住宅点検サービスを新たに商品化。

専用システムやホームページを構築し、新市場へ参入。


IT企業

受託開発中心だった会社が、自社SaaSを開発。

サブスクリプションモデルへ転換するため、システム構築・販売促進費を活用。


飲食業

飲食店が店舗営業だけでなく、冷凍食品ブランドを立ち上げ全国販売へ挑戦。

ホームページ制作、ECサイト構築、広告費、展示会出展などを組み合わせて申請。

このように、

設備だけではなく、

「新しい事業を成功させるために必要な取組全体」

を助成対象として考えることが採択への近道になります。

ペナルティ・実務でよくある落とし穴

本助成金は助成額が大きい一方で、ルールも細かく定められています。

採択後に「知らなかった」では済まされないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

① 交付決定前の契約・発注・支払いは対象外

もっとも多い失敗が、

「採択されると思って先に契約してしまった」

というケースです。

本助成金では、

  • 契約
  • 発注
  • 納品
  • 支払い

のすべてが助成対象期間内である必要があります。

1日でも早い契約は助成対象外になるため注意してください。


② 助成金は後払い

本助成金は精算払いです。

つまり、

一度すべて自己資金で支払い、

完了検査終了後に助成金が支払われます。

そのため、

「自己資金が足りない」

という状態では事業そのものが進められません。

資金繰りまで含めて計画を立てることが重要です。


③ クレジットカード払いに注意

実務では意外と多い失敗です。

助成対象になるのは、

カード利用日ではなく口座引落日

です。

例えば、

3月にカード決済しても、

口座引落が助成対象期間外になれば対象外となる可能性があります。

支払方法まで事前に確認しておきましょう。


④ 「設備導入だけ」では採択されない

「最新設備を導入したい」

「ホームページを作りたい」

だけでは、本コースの趣旨に合致しません。

設備やシステムはあくまで新市場進出を実現するための手段です。

審査では、

「設備を使ってどのような新商品・新サービスを提供し、どの市場へ販売するのか」

まで説明する必要があります。


⑤ 他制度との重複申請

本コースは、

  • 業務改善コース
  • 賃上げ重点コース

との併願はできません。

また、同一内容で他の助成金・補助金を受けることもできないため、申請前に制度の整理を行いましょう。


申請前チェックリスト

申請前に次の項目を確認しておきましょう。

✅ 東京都内の中小企業・個人事業主である

✅ 営業利益が減少、または赤字である

✅ 新商品・新サービスを開発する

✅ 新市場・新分野へ進出する

✅ 既存商品の販路拡大だけではない

✅ GビズIDプライムを取得済み

✅ Jグランツから電子申請できる

✅ 交付決定前に契約・発注しない

✅ 助成対象期間内に契約・実施・支払いが完了する

✅ 自己資金を準備できる


まとめ|「設備を導入するための助成金」ではなく、「新しい売上を生み出すための助成金」

東京都「新市場・新分野進出コース」は、事業再構築補助金や新事業進出補助金と同様に、新しい事業への挑戦を後押しする制度です。

ただし、本制度では、

  • 新商品・新サービスの開発
  • 新市場・新分野への進出

両方が求められます。

「設備を購入したい」

ではなく、

「新しい収益源をつくり、会社を成長させたい」

という経営戦略が採択へのカギになります。

また、事業計画書では、

  • 新規性
  • 市場性
  • 実現可能性
  • 継続性

を具体的な数値や根拠とともに説明することが重要です。

助成金は採択されることがゴールではありません。

採択後に新事業を成功させ、企業の成長につなげてこそ、本当の価値があります。

ほじょカツでは、公募要領を踏まえた事業計画書の作成支援から申請サポートまで行っています。

「自社の事業は対象になる?」
「どのような計画なら採択を目指せる?」

とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


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(新市場・新分野進出コース)

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