訪日外国人旅行者の増加に伴い、タクシーやバスでも、外国人旅行者に分かりやすい案内表示への対応が求められています。
東京都では、観光タクシー・観光バス事業者を対象に、車両に設置する多言語対応の表示機器の導入費用を支援する補助金を実施しています。
補助率は補助対象経費の2分の1以内。1台あたり最大5万円、1営業所あたり最大30台が対象となり、1営業所あたり最大150万円の補助を受けられます。
この記事では、どんな事業者が対象なのか、何の購入・設置・改修に使えるのか、最大いくら補助されるのか、申請時に注意したいポイントを分かりやすく解説します。
インバウンド対応力強化支援事業とは?何に使える?
「インバウンド対応力強化支援事業(車両に設置する表示機器の導入)」は、東京都内の観光タクシー・観光バス事業者が、車両に設置する表示機器の導入による多言語対応を進めるための制度です。
訪都外国人旅行者の受入環境を整備し、外国人旅行者が円滑に観光できる環境づくりを目的としています。
対象経費は?
この補助金では、多言語対応を目的とした表示機器の購入・設置や、既存機器の改修にかかる費用などが補助対象です。
具体的には、次のような費用に活用できます。
- タクシーの実空車表示器(スーパーサイン等)の本体購入費
- バスのデジタル式行先表示器の導入費
- 既存の表示機器を多言語対応にするための改修費
- 表示機器専用の部材費(取付金具・専用配線等)
- 表示機器の設置費・初期設定費
- 既存の実空車表示器(スーパーサイン)の撤去・廃棄費
- 多言語表示に必要な翻訳費・文言作成・登録費
たとえば、タクシーに「空車」「迎車」などを多言語で表示できる実空車表示器(スーパーサイン)を導入する場合などに活用できます。
また、新しい表示機器を購入する場合だけでなく、現在使用している表示機器を多言語対応に改修する場合も補助対象です。
補助金はいくらもらえる?
補助率は、補助対象経費の2分の1以内です。
さらに、車両ごと・営業所ごとに上限が設定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費の1/2以内 |
| 1台あたり上限額 | 最大5万円 |
| 1営業所あたりの対象車両 | 最大30台 |
| 1営業所あたり上限額 | 最大150万円 |
算出した補助金額に千円未満の端数がある場合は切り捨てとなります。
たとえば、30台の車両についてそれぞれ上限5万円まで補助された場合、
5万円 × 30台 = 最大150万円
となります。
ここで押さえておきたいのが、「1社あたり最大150万円」ではなく、「1営業所あたり最大150万円」という点です。
複数の営業所を運営している事業者は、対象となる営業所や車両を整理したうえで制度を確認しましょう。
申請期間はいつまで?
令和8年度の申請期間は、
2026年9月1日(火)~2027年2月26日(金)
です。
また、補助事業の実施期間は、交付決定通知日から2027年3月31日(水)までです。
実績報告は、事業完了後30日以内または2027年3月31日のいずれか早い日までに行う必要があります。
そのため、「2月26日までに申請すれば大丈夫」というわけではありません。
交付決定後の発注・施工・支払い・実績報告までのスケジュールを見据えて、余裕を持って申請準備を進めることが大切です。
どんな事業者が対象?
対象となるのは、要件を満たす観光タクシー事業者または観光バス事業者です。
それぞれ、事業者だけでなく対象となる車両にも要件が定められています。
観光タクシーの場合
対象となる観光タクシー事業者は、一般乗用旅客自動車運送事業者で、東京都内で法令に定める観光タクシー事業を実施していることなどの要件を満たす必要があります。
また、対象車両についても、東京都内に使用の本拠があり、関東運輸局に一般車両として登録されていることなどに加えて、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 標準仕様ユニバーサルデザインタクシー車両
- 東京観光タクシー認定ドライバーが主として乗車する車両
- 東京都地域通訳案内士が主として乗車する車両
- 全国通訳案内士が主として乗車する車両
- ホスピタリティタクシー乗務員が主として乗車する車両
観光バスの場合
観光バスでは、東京都内で観光周遊や空港アクセス等の事業を営む民間の観光バス事業者などが対象です。
対象となる車両についても、
乗車定員11人以上であること、道路運送車両法に基づく検査・登録を受けていること、排出ガスPM排出基準値が0.18g/kWh以下であること
などの要件が定められています。
なお、リース車両については使用者による申請は可能ですが、貸与者は申請できません。
タクシー・バスともに複数の要件が設定されているため、申請を検討する際は、自社と導入予定の車両が対象要件を満たしているか確認しておきましょう。
申請前に注意したいポイント
この補助金を活用する際は、表示機器を購入・設置するタイミングや支払い方法に注意が必要です。
特に重要なのが、交付決定前に発注・契約しないことです。
交付決定前の発注・契約は対象外
補助対象となるのは、交付決定通知を受けた後に発注・契約し、導入した表示機器等にかかる経費です。
交付決定前に発注・契約・施工・導入したものは、補助対象になりません。
そのため、
交付申請 → 審査・交付決定 → 発注・契約 → 導入・支払い → 実績報告 → 補助金の請求・支払い
という流れで進める必要があります。
「申請書を提出したから購入しても大丈夫」というわけではありません。必ず交付決定通知を受けてから発注・契約するようにしましょう。
支払い方法にも注意
表示機器の購入・設置等にかかる費用は、申請者名義の預金口座から契約先へ口座振込で支払います。
実績報告の際には、支払先・支払日・支払金額などが確認できる証憑が必要です。
また、ポイントを利用して支払った部分は補助対象外となります。
機器を導入するだけでなく、補助対象経費として認められるよう、支払い方法や証拠書類の保管にも注意しましょう。
申請方法は?
申請は、郵送・来所・訪問のいずれかの方法で行います。
来所による申請は、毎週木曜日の10:00~16:00に受け付けています。来所・訪問を希望する場合は、事前予約が必要です。
申請受付期間は、2026年9月1日(火)~2027年2月26日(金)です。
導入する表示機器の選定や見積書などの準備も必要になるため、余裕を持って手続きを進めましょう。
申請にはどんな書類が必要?
通常申請では、主に次のような書類を準備します。
- 交付申請書(本紙・別紙)
- 見積書
- 誓約書
- 登記簿謄本(法人の場合)
- 印鑑証明書
- 一般旅客自動車運送事業の許可書
- 自動車検査証(車検証)
- 納税証明書
- 財務諸表等(個人事業主の場合は確定申告書等)
- 車両・乗務員等の対象要件を確認できる書類
- 表示機器の設置前写真
また、1件100万円(税抜)以上の購入・業務委託等については、原則として2社以上から見積書を取得する必要があります。
法人・個人事業主、申請方法などによって必要書類が異なるため、実際に申請する際は最新の申請の手引きを確認してください。
導入後は実績報告が必要
表示機器を導入し、支払いを完了した後は実績報告を行います。
実績報告の期限は、
事業完了後30日以内または2027年3月31日のいずれか早い日まで
です。
実績報告では、導入した機器や実際に支払った金額などを確認できる書類を提出します。
実績報告の内容が審査され、補助金額が確定した後に請求手続きを行い、補助金が支払われます。
そのため、申請期限だけではなく、2027年3月31日までに導入・支払い・実績報告まで完了できるスケジュールかを確認しておくことが重要です。
他の補助金と併用できる?
他の補助金等を利用する場合は、実施主体によって取り扱いが異なります。
東京都または東京都政策連携団体が実施する他の補助金等については、同じ補助対象経費に対して重複して補助を受けることはできません。
一方、国や地方公共団体等が実施する補助金等を利用する場合は、その補助金額を補助対象経費から差し引いて、本制度の補助額を算定します。
すでに別の補助金を利用している場合や、併用を検討している場合は、申請前に確認しておきましょう。
まとめ|多言語対応を予定している観光タクシー・観光バス事業者はチェック
東京都の「インバウンド対応力強化支援事業(車両に設置する表示機器の導入)」では、対象となる観光タクシー・観光バス事業者が、多言語対応の表示機器を導入・改修する際の費用について、補助対象経費の2分の1以内、1営業所あたり最大150万円の補助を受けられます。
タクシーの実空車表示器(スーパーサイン等)や、バスのデジタル式行先表示器の購入・設置だけでなく、既存の表示機器を多言語対応にするための改修なども対象です。
特に注意したいのが、交付決定前に発注・契約・施工・導入しないことです。
申請期間は2027年2月26日までですが、補助事業の実施や実績報告には2027年3月31日という期限があります。
多言語対応の表示機器を導入・改修したい東京都内の観光タクシー・観光バス事業者は、対象要件やスケジュールを確認し、早めに準備を進めてみてはいかがでしょうか。
制度の詳細や最新情報については、交付要綱・申請の手引き・公式サイトをご確認ください。
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