東京都では、働き方改革や従業員の定着促進を目的として、「令和8年度 手取り時間創出・魅力ある職場づくり推進奨励金」を実施しています。
この奨励金は、フレックスタイム制や選択的週休3日制、育児・介護と仕事の両立支援、従業員の賃金引上げなどに取り組む都内中小企業等を支援する制度です。
所定の要件を満たす取組を2つ以上実施することで、最大264万円の奨励金を受け取れる可能性があります。
令和8年度は全10回の事前エントリーが予定されており、第7回は2026年11月4日(水)から11月10日(火)17時まで受け付けられます。
本記事では、第7回の申請スケジュールを中心に、対象企業、奨励金額、15の取組内容、申請方法、就業規則の整備に関する注意点を解説します。
1.手取り時間創出・魅力ある職場づくり推進奨励金とは?
本奨励金は、東京都と公益財団法人東京しごと財団が実施する、職場環境の改善を目的とした支援制度です。
「手取り時間」とは、給与の手取り額ではなく、柔軟で多様な働き方によって生み出される、従業員が育児・介護・趣味などに自由に活用できる時間を意味します。
例えば、フレックスタイム制や選択的週休3日制を導入することで、従業員が仕事と私生活を両立しやすい環境を整えられます。
また、従業員のキャリア形成や賃金引上げなど、働きがいを高める取組も支援対象です。
奨励金の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 手取り時間創出・魅力ある職場づくり推進奨励金 |
| 対象地域 | 東京都 |
| 実施機関 | 公益財団法人東京しごと財団 |
| 対象事業者 | 都内で事業を営む中小企業等 |
| 支給上限額 | 最大264万円 |
| 対象となる取組 | 全15項目 |
| 必要な取組数 | 2項目以上 |
| 募集回 | 令和8年度 第7回 |
| 募集予定数 | 140社 |
| 事前エントリー期間 | 2026年11月4日(水)~11月10日(火) |
| 受付締切 | 2026年11月10日(火)17:00 |
| 公式サイト | https://www.tokyo-engagement.jp/ |
なお、事前エントリーに通過しただけで奨励金が支給されるわけではありません。
その後の要件審査や専門家派遣、制度整備、支給申請など、所定の手続きを完了する必要があります。
2.奨励金は最大264万円!対象となる15の取組
本奨励金には、従業員の働きやすさや働きがいを高めるための15項目の取組が設けられています。
それぞれの取組について支給額が設定されており、企業が実施した内容に応じて奨励金額が決まります。
奨励金の支給額
| 取組区分 | 支給額 | 上限額 |
|---|---|---|
| 「手取り時間」創出の取組 | 1項目10万円 | 50万円 |
| ライフステージを支援する取組 | 1項目10万円 | 30万円 |
| 従業員のエンゲージメント向上に向けた取組 | 1項目10万円 | 40万円 |
| 賃金引上げの取組 | 1人12万円 | 144万円 |
| 合計 | 264万円 |
※実際の支給額は、要件を満たした取組数や賃上げ対象人数等によって異なります。
①「手取り時間」創出の取組|最大50万円
従業員が自由に使える時間を増やすことを目的とした取組です。
| 対象となる制度 | 奨励金額 |
|---|---|
| 時間外労働削減に向けた推進計画 | 10万円 |
| フレックスタイム制 | 10万円 |
| 多様な勤務形態(選択的週休3日制・勤務間インターバル) | 10万円 |
| 多様な正社員制度 | 10万円 |
| 積立休暇制度 | 10万円 |
例えば、従業員が始業・終業時間を柔軟に選択できるフレックスタイム制や、ライフスタイルに応じた週休3日制などが対象となります。
なお、同一の制度番号に含まれる複数の制度を導入しても、原則として1項目として取り扱われます。
② ライフステージを支援する取組|最大30万円
従業員が育児や介護など、ライフステージの変化に対応しながら働き続けられるよう支援する取組です。
| 対象となる制度 | 奨励金額 |
|---|---|
| 家庭応援特別休暇制度 | 10万円 |
| 産休・育業及び介護休業を支える従業員への支援制度 | 10万円 |
| 慣らし保育・小1の壁を乗り越える勤務制度 | 10万円 |
| 育業早期復職支援・ひとり親家庭支援制度 | 10万円 |
例えば、子どもの入園後の慣らし保育に対応する勤務制度や、家族の行事・地域活動に参加するための特別休暇制度などが該当します。
4項目の制度がありますが、この区分の支給上限額は30万円です。
③ 従業員のエンゲージメント向上に向けた取組|最大40万円
従業員の働きがいや組織への貢献意欲を高めることを目的とした取組です。
| 対象となる制度 | 奨励金額 |
|---|---|
| 社外副業・兼業制度 | 10万円 |
| 社内メンター制度 | 10万円 |
| 外部キャリアコンサルタント活用支援制度 | 10万円 |
| 従業員表彰制度・報奨金制度 | 10万円 |
| 社員のつながり支援制度 | 10万円 |
例えば、若手従業員を支援する社内メンター制度や、従業員の成果を評価する表彰制度などが対象です。
5項目の制度がありますが、この区分の支給上限額は40万円です。
④ 賃金引上げの取組|最大144万円
従業員の賃金を引き上げる取組については、対象者1人当たり12万円の奨励金が設定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる取組 | 時間当たり60円以上の賃金引上げ |
| 奨励金額 | 1人当たり12万円 |
| 対象人数 | 最大12人 |
| 支給上限額 | 最大144万円 |
主な要件は以下のとおりです。
- 時間当たり60円以上の賃金引上げを行うこと
- 就業規則等で定める定期昇給とは別の賃上げであること
- 賃上げ後の時間当たり賃金が、東京都の地域別最低賃金を60円以上上回ること
- 対象となる従業員が雇用保険の被保険者であること
なお、賃上げの取組には、賃上げ後1か月分の賃金台帳等の提出が必要であり、取組に最短でも約2か月かかるとされています。
3.対象となる事業者は?
本奨励金は、東京都内で事業を営む中小企業等を対象としています。
主な対象要件
| 項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 事業所 | 東京都内に本店・支店・営業所等があること |
| 従業員数 | 常時雇用する労働者が300人以下 |
| 雇用条件 | 都内に勤務する常時雇用の労働者を1人以上、6か月以上継続雇用していること |
| 就業規則 | 作成し、労働基準監督署に届け出ていること |
| 労働関係法令 | 最低賃金や労働時間等に関する法令を遵守していること |
| 都税 | 未納がないこと |
個人事業主や、要件を満たす一般社団法人・NPO法人等も対象となる場合があります。
ただし、過去の奨励金受給歴や法令違反の有無など、募集要項に記載された全ての条件を満たす必要があります。
従業員10人未満の企業も就業規則の届出が必要
本奨励金では、従業員が10人未満の企業等についても、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が必要です。
また、企業情報登録時に提出する既存の就業規則は、事前エントリー日以前に作成・施行されている必要があります。
そのため、これから就業規則を整備する企業は、事前エントリーに先立って準備を進めることが重要です。
4.令和8年度 第7回の申請スケジュール
令和8年度は全10回の事前エントリーが予定されています。
第7回の事前エントリー期間は、2026年11月4日(水)から11月10日(火)17時までです。
第7回の募集概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 募集回 | 第7回 |
| 募集予定数 | 140社 |
| 受付開始 | 2026年11月4日(水)9:00 |
| 受付締切 | 2026年11月10日(火)17:00 |
| 結果通知 | 受付期間終了後、おおむね7営業日以内 |
募集予定数を超える申込みがあった場合は、抽選が実施されます。
なお、受付開始直後の申込みが必ずしも有利になるわけではありませんが、締切直前は手続きに時間がかかる可能性もあるため、余裕を持った対応がおすすめです。
第7回エントリー通過後のスケジュール
| 手続き | 日程 |
|---|---|
| 企業情報の登録期限 | 2026年11月27日(金)17:00 |
| 専門家派遣1回目の目安日 | 2027年1月22日(金) |
| 支給申請(取組の報告)期限 | 2027年6月21日(月)17:00 |
※電子申請は原則として締切日17時まで。郵送受付となる手続きは募集要項に従い、期限日の消印有効です。
※専門家派遣1回目の目安日は、原則としてその日までに実施することが推奨される日程です。最終期限とは異なります。
第8回以降の事前エントリー予定
第7回に申し込めない場合は、次回以降の募集も検討できます。
| 募集回 | 事前エントリー期間 | 募集予定数 |
|---|---|---|
| 第8回 | 2026年12月2日(水)~12月8日(火) | 140社 |
| 第9回 | 2027年1月6日(水)~1月13日(水) | 140社 |
| 第10回 | 2027年2月3日(水)~2月9日(火) | 140社 |
各回の受付時間は、開始日午前9時から締切日午後5時までです。
5.申請から奨励金受給までの流れ
本奨励金では、事前エントリーから奨励金受給まで、複数の手続きが必要です。
- 事前エントリー:公式サイトからGrafferを利用して申込み
- 企業情報の登録・要件審査:会社情報や就業規則等の必要書類を提出
- 専門家派遣(原則2回):専門家と相談し、導入する制度や取組内容を検討
- 制度整備・取組実施:労使協定の締結、就業規則等の改定・届出、賃金引上げ等を実施
- 支給申請(取組の報告):取組内容を証明する書類を提出
- 審査・支給額の決定:支給要件を満たすか審査
- 奨励金の振込:所定の請求手続き後に振込
事前エントリーを通過しても、企業情報の登録や専門家派遣、取組の実施が必要です。
6.申請前に確認したい5つの注意点
① 2つ以上の取組が必要
対象となる15項目のうち、2項目以上の取組を実施する必要があります。
2項目のみを実施し、うち1項目が支給要件を満たさないと判断された場合は、残る1項目も支給対象外となります。
② 既に導入済みの制度は原則対象外
既に就業規則等に記載され、施行されている制度は、原則として新たな制度導入とは認められません。
既存制度を拡充する場合も、対象となるか事前に確認する必要があります。
③ 労使協定と就業規則の整備が必要
賃金引上げ以外の制度については、原則として取組ごとの労使協定の締結と、就業規則等への制度内容の明文化が必要です。
また、所定の届出や社内周知なども必要となります。
詳細は、公式サイトに掲載されている「就業規則記載例集(取組の留意点)」を確認しましょう。
④ 専門家派遣前の取組開始に注意
本奨励金の取組期間は、原則として専門家派遣1回目の終了後から支給申請日までです。
制度整備や賃金引上げの実施時期を誤ると、支給対象外となる場合があります。
⑤ 他の補助金・助成金との併給に注意
同一の取組について、他の補助金・助成金との併給が認められない場合があります。
既に他の制度を利用している場合は、申請前に併給条件を確認しましょう。
7.こんな企業におすすめ!
本奨励金は、次のような課題を抱えている企業におすすめです。
- 人材定着率を高めたい企業:従業員が働き続けやすい勤務制度を整備したい
- 育児・介護と仕事の両立を支援したい企業:特別休暇や柔軟な勤務制度を導入したい
- 賃金引上げを検討している企業:賃上げと職場環境の改善を進めたい
- 従業員の働きがいを高めたい企業:キャリア支援制度や表彰制度を導入したい
- 採用力を高めたい企業:週休3日制や副業・兼業制度などを整備したい
8.よくある質問(FAQ)
Q1.従業員が少ない企業でも申請できますか?
はい。都内に勤務する常時雇用の労働者を1人以上、6か月以上継続雇用しているなど、所定の要件を満たせば申請できる可能性があります。
ただし、従業員10人未満の企業等も就業規則の作成・届出が必要です。
Q2.賃上げだけでも申請できますか?
いいえ。本奨励金では2項目以上の取組が必要です。賃上げ1項目だけでは対象となりません。
Q3.既にフレックスタイム制を導入している企業も対象ですか?
既に就業規則等に記載され、施行されている制度は原則として対象外です。ただし、既存制度の適用対象を拡大する場合など、条件によって対象となるケースもあります。
Q4.第7回の事前エントリー期間はいつですか?
2026年11月4日(水)午前9時から、11月10日(火)午後5時までです。
Q5.第7回に間に合わなかった場合はどうすればよいですか?
第8回以降の募集を検討できます。第8回の受付期間は2026年12月2日(水)から12月8日(火)までの予定です。
9.まとめ|第7回は11月10日17時締切!最大264万円の奨励金で職場環境を改善
東京都の「令和8年度 手取り時間創出・魅力ある職場づくり推進奨励金」は、従業員が安心して働き続けられる職場環境づくりを支援する制度です。
フレックスタイム制や選択的週休3日制、育児・介護支援、キャリア形成支援、賃金引上げなど、15項目の取組が対象となります。
2項目以上の取組を実施し、所定の要件を満たすことで、最大264万円の奨励金を受け取れる可能性があります。
令和8年度第7回の事前エントリーは、2026年11月4日(水)から11月10日(火)17時までです。
申請を検討している事業者は、募集要項を確認し、自社に合った制度整備を進めましょう。
公式資料・参考リンク
※本記事は2026年10月14日時点の令和8年度募集要項、支給要綱、支給要領等をもとに作成しています。制度内容や募集状況は変更される場合がありますので、最新情報は公式サイトをご確認ください。
【令和8年度 手取り時間創出・魅力ある職場づくり推進奨励】
💡補助金情報を探している方へ、このページをシェアお願いします👇

